食卵の品質管理部門

サルモネラ菌検査:サルモネラ菌は食中毒の原因として一般にもよく知られています。日本でサルモネラ菌に汚染されたタマゴを原因とした大規模な食中毒が発生したのは、1997年のことで、これがもとで、そのリスクが一般にもよく知られるようになりました。

当社はかねてから、サルモネラ菌が食卵にとっていかにリスキーなものかを業界で主張し続けてきました。また1990年当時から食卵の安全性を担保することを主眼とした対策法の模索を継続していました。その結果、1997年に食中毒が頻発した当時には自発的なモニタリングにより商品の安全性を確保するためのシステムをほぼ完成していました。
このサルモネラ菌(《サルモネラ・エンティリティヂス(SE)菌》)による食中毒事件の多発をきっかけに、生産現場でも生産品の安全性を保証する検査データが求められるようになりました。

私どもでは、それまでのシステムをフィールドに適用する前に、当時世界でも先駆的とされていたアメリカ・ペンシルバニア州で試行されていた《サルモネラ・エンティリティヂス(SE)菌》のコントロールシステムを調査に現地へ出かけ、その実態を私どものものと対比してさらに厳密にサルモネラ菌を監視するシステムとして完成度を上げたのです。こうした努力の上、その方法を当社のクライアント様へ紹介して、野外におけるSE菌汚染の実態を調査するとともに、その浄化をお手伝いしてきました。

当時、専門家の間で常識とされていた汚染のレベルや頻度について、生産現場に密着した調査研究により、リスクの詳細をより明らかにし、これらの結果を獣医学会や業界紙に紹介し続けて現在に至っています。(詳細については、研究活動の項をご参照ください)。

実際の生産現場におけるサルモネラ菌汚染実態を詳細に分析するためには、ときにロット当たり1000個(60Kg以上)/回ものサンプル卵を対象とします。このような場合には、多くの研究機関ではサンプルの一部を採取して検査に供しますが、当社では全量を1バッチ(25分割)して培養することでデータの厳密を期しています。このように大量の材料を検査処理にはコストはかかりますが、データの信頼性は極めて高くなります。

また、環境等で分離されたサルモネラ菌については、どのような種類のものかを血清学的に分析するとともに、汚染ルートを特定するための遺伝子検査も実施しています(資料の一部を写真1、2、3に掲載しています)。このような食卵の安全性確認モニタリングは、当社クライアント様の全ての群を対象として、継続実施しています。

 

 

写真1

写真2

写真3

 

食卵の鮮度検定:当社のクライアント様の全ロットを対象として、原則毎月30個の原料卵(鶏舎で直接ランダムに集めたタマゴ)を対象として個別に卵重を測定すると同時に割卵しそれぞれの卵殻の強度、卵殻の厚さ、卵黄色度合、アルブミンの高さ測定してハウ・ユニットを算出して、各種の分析を行います。同時に、目視により卵殻の表面が良好でパックに適するか、内容に異物が目移入していないか等々の検査を実施して、ロットの状況を判断できる資料を作成します。

ハウ・ユニットという指数は、タマゴの鮮度を判定する目安として市場でも重要視されています。ブランド卵では軽視できない指標ですので、各クライアント様ではこうした情報を商品のPRにも応用されています(写真4をご覧ください)。

写真4